2019年7月掲載。『LINEフロンティアデビュープログラム』という、インディーズ作家からプロを投票で選ぶコンテストの解説漫画を描きました。

作品はこちら。



描かせていただいておいてなんですが、漫画じゃないほうが分かりやすいです。

漫画の本来の目的は「社会人でもプロ漫画家になれる!」というメッセージを読者に伝えることでしたが、完全に失敗しています。漫画の9割はどうでもいい内容です。むしろ文字だけで説明してほしい。

せめて漫画のオモシロ要素で読者の関心を引ければ良かったのですが、ナンセンスすぎて読者がひどく限定されています。けっきょく、学習効果も宣伝効果も微妙なものになってしまいました。



この案件以降、解説漫画とはどうあるべきかを真剣に考え直しました。「なぜ漫画でなければいけないのか?」「漫画は文字だけより確実にノイズが増えるが、それに見合うには何を描けばいいのか?」などなど。

この反省がどう役立ったのか、今後の事例から判断してください。


ところで上述のリンク先の漫画は、実はテイク3です。その前に2本のボツ案がありました。いずれもボツになるのも納得の内容です。

それぞれ何がダメだったのか振り返ってみましょう。

テイク2

致命的な問題点として、「社会人でもプロ漫画家になれる」というメッセージを伝えねばならないのに、主人公が社会人を辞めてしまっています。

当時の僕は漫画のオモシロ部分を考えることに精一杯で、伝えるべき内容についての意識が希薄(というか皆無)でした。なぜか僕の担当編集者も同じだったようで、この漫画に OK を出しました。が、その後上層部から「辞めたらダメ」と NG が出ました。当然の結果です。



しかし、一番最初のバージョンはこれとは比べ物にならないほどヒドイです。


テイク1

意味がぜんぜん分かりません。

まずスパイを社会人の典型として考えていることが大問題です。しかも「トライアル連載」とは何なのかも全く説明していません。読者の記憶に残るのは「“タンクトップ”」「“オーバーオール”」「バトル漁師」など、どうでもいい単語だけです。

僕の担当編集は、これにまさかの OK を出しました。しかしほかの編集者が「意味が分からなすぎて学習効果が無い」という至極真っ当な理由でボツにしました。

僕の担当、ちゃんと仕事をしてください。